障害者等の地域生活や就労の支援の強化等により、障害者等の希望する生活を実現するため
1.障害者等の地域生活の支援体制の充実(障害者総合支援法、精神保健福祉法)
2.障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進(障害者総合支援法、障害者雇用促進法)
3.精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備(精神保健福祉法)
4.難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実及び療養生活支援の強化(難病法、児童福祉法)
5.障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベース(DB)に関する規定の整備(障害者総合支援法、児童福祉法、難病法)
6.その他(障害者総合支援法、児童福祉法)
1.
・グループホーム利用者が希望する地域生活の継続・実現の推進
グループホームにおいて、地域で生活する上での希望や課題を本人と確認しつつ、一人暮らし等に向けた支援を提供することが求められていることを踏まえ、グループホームの支援内容として、一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援が含まれる点について、障害者総合支援法において明確化する。※ただし、グループホームにおける継続的な支援を希望する者については、これまでどおり、グループホームを利用することができる。
・地域の障害者・精神保健に関する課題を抱える者の支援体制の整備
○基幹相談支援センターについて、地域の相談支援の中核的機関としての役割・機能の強化を図るとともに、その設置に関する市町村の努力義務等を設ける。
○地域生活支援拠点等を障害者総合支援法に位置付けるとともに、その整備に関する市町村の努力義務等を設ける。
○地域の協議会で障害者の個々の事例について情報共有することを障害者総合支援法上明記するとともに、協議会の参加者に対する守秘義務及び関係機関による協議会への情報提供に関する努力義務を設ける。
○市町村等が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者(※)も対象にできるようにするとともに、これらの者の心身の状態に応じた適切な支援の包括的な確保を旨とすることを明確化する。また、精神保健福祉士の業務として、精神保健に課題を抱える者等に対する精神保健に関する相談援助を追加する。
2.
・就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等
○就労選択支援の創設・障害者本人が就労先・働き方についてより良い選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する新たなサービス(就労選択支援)を創設する(障害者総合支援法)。
・ハローワークはこの支援を受けた者に対して、アセスメント結果を参考に職業指導等を実施するものとする(障害者雇用促進法)。
○就労中の就労系障害福祉サービスの一時利用・企業等での働き始めに勤務時間を段階的に増やしていく場合や、休職から復職を目指す場合(※)に、その障害者が一般就労中であっても、就労系障害福祉サービスを一時的に利用できることを法令上位置づける(障害者総合支援法)。(※)省令で規定
○雇用と福祉の連携強化・一般就労への移行・定着支援をより一層推進するため、市町村や障害福祉サービス事業者等の連携先として、障害者就業・生活支援センターを明示的に規定する
・短時間労働者(週所定労働時間10時間以上20時間未満)に対する実雇用率算定等
○週所定労働時間が特に短い(大臣告示で10時間以上20時間未満と規定予定)精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、特例的な取扱いとして、事業主が雇用した場合に、雇用率において算定できるようにする。
○あわせて、これにより、週所定労働時間20時間以上の雇用が困難な者に対する就労機会の拡大を直接図ることが可能となるため、特例給付金(※)は廃止する。
・障害者雇用調整金等の見直しと助成措置の強化
限られた財源を効果的に運用し、雇用の質の向上に向け、事業主による障害者の職場定着等の取組に対する支援を充実させるため、以下の見直しを実施。
✓事業主が一定数を超えて障害者を雇用する場合、当該超過人数分の調整金や報奨金の支給額の調整
✓事業主の取組支援のため、助成金を新設(雇入れや雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助の支援、加齢に伴い職場への適応が困難となった障害者への雇用継続の支援)
3.
・医療保護入院の見直し
家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合にも、市町村長の同意により医療保護入院を行うことを可能とする等、適切に医療を提供できるようにするほか、誰もが安心して信頼できる入院医療の実現にむけて、入院者の権利を擁護するための取組を一層推進させるため、医療保護入院の入院期間を定め、入院中の医療保護入院者について、一定期間ごとに入院の要件の確認を行う改正後の医療保護入院のイメージ(改正に関わる手続等を記載)
・通知先に家族等を追加(※3)
・通知事項に入院理由を追加(※3)<入院の要件>精神障害者診察
・入院治療は必要だが、自ら同意できる状況にない
・精神保健指定医(※1)1名の判定家族等(※2)の同意・家族等がいない場合は市町村長同意<入院時の手続>精神障害者に書面で通知(通知する事項)
・入院措置を採ること
・退院等請求に関すること入院期間(※6)を定め、精神科病院において期間ごとに入院の要件(病状、同意能力等)を確認(※7)家族が意思表示を行わない場合も市町村長が同意の可否を判断(例)20年以上親交のない遠方の家族等:本人の利益を勘案して同意・不同意をすることが困難。
・「入院者訪問支援事業」の創設
市町村長同意による医療保護入院者等を対象に、外部との面会交流の機会を確保し、その権利擁護を図ることが必要である。そのため、都道府県知事等が行う研修を修了した入院者訪問支援員が、患者本人の希望により、精神科病院を訪問し、本人の話を丁寧に聴くとともに、必要な情報提供等を行う「入院者訪問支援事業」を創設する。
・精神科病院における虐待防止に向けた取組の一層の推進
○精神科病院における虐待防止のための取組を、管理者のリーダーシップのもと、組織全体でより一層推進するため、以下の内容等を規定。
①精神科病院の患者に対する虐待への対応について、従事者への研修や患者への相談体制の整備等の虐待防止等のための措置の実施を、精神科病院の管理者に義務付ける。
②精神科病院の業務従事者による虐待を受けたと思われる患者を発見した者に、速やかに都道府県等に通報することを義務付ける(※)。あわせて、精神科病院の業務従事者は、都道府県等に伝えたことを理由として、解雇等の不利益な取扱いを受けないことを明確化する。
③都道府県等は、毎年度、精神科病院の業務従事者による虐待状況等を公表するものとする。
④国は、精神科病院の業務従事者による虐待に係る調査及び研究を行うものとする。
4.
・症状が重症化した場合に円滑に医療費支給を受けられる仕組みの整備
○医療費助成の開始時期を、「重症度分類を満たしていることを診断した日」(重症化時点)とする。
○ただし、申請日からの遡りの期間は原則1か月とし、入院その他緊急の治療が必要であった場合等は最長3か月。
・難病患者等の療養生活支援の強化①
○福祉、就労等の各種支援を円滑に利用できるようにするため、都道府県等が患者のデータ登録時に指定難病に罹患していること等を確認し、「登録者証」を発行する事業を創設。その際、障害福祉サービスの申請窓口である市町村等において、マイナンバー連携による照会を原則とする。
○「登録者証」情報について、これによりデータベースへのデータ登録の促進にも資することが期待される。
・難病患者等の療養生活支援の強化②
○難病相談支援センターの連携すべき主体として、福祉関係者や就労支援関係者を明記。
○難病の協議会と同様に、小慢の地域協議会を法定化した上で、難病と小慢の地域協議会間の連携努力義務を新設。
・小児慢性特定疾病児童等に対する自立支援の強化
○地域の小慢児童等やその保護者の実態を把握し、課題の分析等を行い、任意事業の実施及び利用を促進する「実態把握事業」を努力義務として追加。
○現行の任意事業の実施を努力義務化。
5.
・調査・研究の強化(障害者DB・障害児DB・難病DB・小慢DBの充実)
○障害者・障害児・難病・小慢DBの法的根拠を新設。国による情報収集、都道府県等の国への情報提供義務を規定。
○安全管理措置、第三者提供ルール等の諸規定を新設。他の公的DBとの連結解析も可能とする。
○難病DBについて、登録対象者を拡大し、軽症の指定難病患者もデータ登録可能とする。
6.
・地域のニーズを踏まえた障害福祉サービス事業者指定の仕組みの導入
居住地特例の見直し
都道府県の通所・訪問・障害児サービス等の事業者指定について、市町村はその障害福祉計画等との調整を図る見地から意見を申し出ることができること、都道府県はその意見を勘案して指定に際し必要な条件を付すことができ、条件に反した事業者に対して勧告及び指定取消しができることとする。
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